普通の歯科医師なのか違うのか

前歯部CAD/CAM冠の5年生存率、成功率(後ろ向き)

 
この記事を書いている人 - WRITER -
5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学(現東京科学大学)卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学、岩手医科大学

半年ぐらい更新が止まっていました。仕事が色々と立て込んでいて論文を読むまとまった時間がなかなか取れなかったのが原因ですが、やっと仕事が落ち着いてきたのでブログを再開いたします。再開1発目は知り合いの先生が書かれたこれ。読んで感想を教えてほしい、といわれていたので早速読んでいきます。

Clinical outcomes of anterior CAD-CAM composite-resin crowns: A 5-year retrospective cohort study
Yu Takaesu , Yuki Nakamura , Kazuhiko Yamada , Kota Isshi , Yuichiro Yamaguchi , Naoyuki Kaga , Takashi Matsuura 
J Prosthodont Res. 2026 May 20. doi: 10.2186/jpr.JPR_D_25_00383. Online ahead of print.

PMID:42161516
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42161516/

Jstageからダウンロードフリーです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpr/advpub/0/advpub_JPR_D_25_00383/_article

Abstract

Purpose: This study aimed to compare the 5-year cumulative survival and success rates of anterior CAD-CAM composite-resin crowns and identify the risk factors for complications associated with these restorations.

Methods: Clinical data were analyzed for consecutive single anterior CAD-CAM composite-resin crowns placed over a 5-year period and post-treatment events recorded during follow-up. Survival curves for the CAD-CAM composite-resin crowns were generated using Kaplan-Meier analysis, and statistical differences between the groups were assessed using the log-rank test. Cox proportional hazards analysis was performed to identify the risk factors for complications.

Results: The 5-year cumulative survival and success rates of CAD-CAM composite-resin crowns were 95.6% and 91.5%, respectively. The 5-year cumulative success rate was significantly higher in the buccolingual total occlusal convergence (TOC) < 20° group than in the buccolingual TOC > 20° group (P = 0.021). In addition, the incidence of complications was significantly greater in the buccolingual TOC > 20° group than in the buccolingual TOC < 20° group (P = 0.024; hazard ratio, 22.105).

Conclusions: Anterior CAD-CAM composite-resin crowns demonstrated significantly high 5-year survival and success rates. However, a buccolingual TOC > 20° might be associated with an increased risk of complications.

目的:本研究の目的は、前歯部CAD/CAM冠における5年間の累積生存率と成功率を比較し、トラブルのリスクファクターを確認する事です。

方法:セット後5年間が経過し、フォローアップ期間中の出来事が記録された前歯部CAD/CAM単冠の臨床データを解析しました。Kaplan-Meier法により生存曲線を生成し、long-rankテストを用いて群間の統計的な差を評価しました。トラブルのリスクファクターを確認するために、Cox比例ハザード分析を行いました。

結果:前歯部CAD/CAM冠における5年間の累積生存率、成功率はそれぞれ95.6%、91.5%となりました。頬舌側形成面のテーパーの合計(TOC)が20度未満の群が、20度より大きい群よりも有意に高い5年累積成功率を示しました(P=0.021)。加えて、頬舌側のTOCが20度より大きい群の方が、TOC20度未満の群よりもトラブルの頻度が有意に多い結果となりました(p=0.024、ハザード比 22.105)。

結論:前歯部CAD/CAM冠は高い5年生存率、成功率を示しました。しかし、頬舌側TOCが20度よりも大きいとトラブル増加に繋がる可能性が示唆されました。

ここからはいつもの通り本文を訳します。誤訳もあり得ますので、気になったら実際の本文をご確認ください。

緒言

2014年度の会計年度より、日本ではハイブリッドレジンブロックを用いた小臼歯部のCAD/CAM冠が保険導入されました。メタルフリーの代替物として紹介され、フィラー含有量60%を超えるレジンブロックによる高い強度と優れた研磨性を有しています。最近では、小臼歯だけではなく大臼歯や前歯にも用いられるようになっています。

レジンベースのCAD/CAM材料は、セラミック材料と比較して優れた弾性率、高耐荷重、ミリングに適した物性を有しています。小臼歯部におけるCAD/CAM冠の3年間の累積成功率、生存率はそれぞれ71.7%、96.7%であると報告されています。また、大臼歯では70.9%、93.7%と報告されています。臼歯部では脱離が頻繁に起こります。接着プロトコルの遵守は早期の脱離を防止するかもしれません。しかし、再装着後の予後は一般的に良好です。

小臼歯CAD/CAM冠における最近のシステマティックレビューでは、2.0年~5.8年のフォローアップ期間において生存率は93~96%であり、一方で大臼歯の生存率は0.3~3.6年のフォローアップ期間で85.3%~100%でした。このシステマティックレビューに含まれる研究では、小臼歯、大臼歯CAD/CAM冠を評価していました。しかし、前歯部CAD/CAM冠の臨床的なアウトカムを調査した研究は殆ど無く、比較データは限定的です。そのため、前歯部CAD/CAM冠におけるトラブルのない生存率はいまだ不明なままです。

本研究では、前歯部CAD/CAM冠が臨床的に許容できる5年間のアウトカムを示し、支台歯の形成がトラブルの頻度に影響するという仮説を立てました。

実験方法

この後ろ向き研究には、2020年9月1日~2025年8月31日までの期間に福岡歯科大学補綴科において前歯部CAD/CAM冠単冠の治療をうけた患者が含まれます。採用基準は20歳以上、定期検診の既往、低いカリエスリスク、重度歯周病ではない、としました。プロービング深さの平均値とBOPの%で歯周病を評価しました。BOPを伴う5mmより大きいプロービング深さ、またはBOPが10%を超える場合に歯周病と定義しました。SilnessとLöeによるプラークインデックスを用いてプラークコントロールを評価しました。除外基準は、インプラント支台、義歯の支台歯、顎関節症またはブラキシズムの既往としました。ブラキシズムと顎関節症は、特に専用の評価器具を用いず、患者の問診に基づいて確認しました。

患者は、臨床経験3年以上の歯科医師15名のうち1名に治療を受けました。歯科医師全ては、フィニッシュラインはディープシャンファー、軸面は6~10度といった標準化された形成ガイドラインに従いました。全ての症例において、標準化されたテーパー6度のダイヤモンドバーを用いて支台歯形成を行いました。形成の適切さはシリコーンインデックスとプロビジョナルレストレーションにより評価しました。形成量のガイドとして、形成前にシリコーンインデックスを診断用模型から作製しました。形成中に、シリコーンインデックスを用いて形成量を視覚的、臨床的に確認しました。加えて、プロビジョナルレストレーションの厚みにより形成の適切さを評価しました。

3名の技工士(院内1名、院外2名)がCAD/CAM冠製作の全ての過程を担当しました。CAD/CAMはGC社製CERASMARTまたはクラレノリタケ社製KATANA AVENCIAの2種類のレジンブロック(表1)を、CAD/CAMシステム(GC社製Aadvaまたは松風社製S-WAVE)を用いてミリングして製作しました。CAD/CAM冠の設計は、冠の厚みは最低1.0mm、セメント層の厚みは20-40μmになるように行いました。試適後、サンドブラスト処理、シラン処理を行いました。支台歯への適切な表面処理後にCAD/CAM冠を接着性レジンセメント(Panavia V5またはSA Luting Plus)で装着しました。

以下の患者、補綴物に関するデータは、診療録と技工指示書から得ました。性別、年齢、残存歯数、咬合様式、支台歯の状態(生活歯/失活歯)、治療歯の位置(上顎/下顎、切歯/犬歯)、対合歯の状態(天然歯/治療歯)。オリジナル石膏模型から、支台歯の3次元(3D)デジタルデータ(STLファイル)を再構築しました。後ろ向き評価のために、STLデータをCADソフトウェアにインポートしました。特に、頬舌的な形成面のテーパーの合計(TOC)を図1に示すように計測しました。基準面を定義するために3つの基準点、頬舌側フィニッシュラインの最も歯肉側、支台歯の切縁先端をプロットしました。支台歯を矢状断し、主要な頬舌軸に沿って2次元の線を引きました(赤線)。頬舌TOCはこの赤線から計算しました。1名の担当者が全てのTOCを計測しました。それぞれの計測を各3回を行い、平均値を解析に用いました。全てのケースで反復誤差は1度以内であり、測定エラーは最小でした。潜在的なバイアスを最小化するために、臨床的なアウトカムを知らない状況で測定は行われました。

群間の比較にはMann-Whitney U検定とχ2検定を使用しました。観察期間中、特にトラブルなくCAD/CAM冠と支台歯が機能していた場合、成功と分類しました。一方で脱離したが再装着可能だった場合、失敗ではなく生存と分類しました。レジンのチッピングは小さい(<2mm2)、大きい(≧2mm2)と分類しました。研磨で対応できる小さいチッピングは生存と判断しました。亀裂は再製作が必要な構造破壊であり、失敗と分類しました。チッピングの大きさと破折部の厚みを計測するのにプローブを使用しました。直近の定期検診が2025年2月28日より1年以上前だった場合、その検診日が追跡期間の終了時点とみなされました。

便宜的に、それぞれのCAD/CAM冠の生存曲線を記載するためにKaplan-Meier法を使用しました。また統計的比較にはlog-rank法を用いました。トラブルのリスクファクターを特定するため、Cox比例ハザード分析を用いた段階的解析法により、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を評価しました。2本以上のクラウンを装着した患者はほとんどいなかったため、コックス比例ハザード分析では患者レベルのクラスタリングが考慮されました。患者内相関を調整するためのロバスト標準誤差を用いた多階層生存分析を、StatFlex バージョン 7.0.11を用いて実施し、すべての比較において有意水準を α = 0.05 に設定しました。事後的な検出力解析をG*Powerソフトウェアを用いて実施し、差を検出するのに十分な標本サイズであるかどうかを評価しました。

結果

110名、151本のCAD/CAM冠は採用基準に適合しました。その中で、36名、57本のCAD/CAM冠においてフォローアップ期間中のデータが利用できませんでした。結果として、74名、94本が採用され(図2)、平均フォローアップ期間は42か月(12~60か月)でした。

Kaplan-Meierでは、5年間の累積生存率は95.6%でした(95%信頼区間 93.5-97.7%)(図3)。成功率は91.5%でした(95%信頼区間 88.7-94.3%)(図4)。

log-rankによる比較では、上顎(79.5%、95%信頼区間 60.4-98.6%)と下顎(75.7% 、95%信頼区間 52.9-98.3%)、中切歯(84.5%、95%信頼区間 77.6-91.4%)と側切歯(50.0%、95%信頼区間 25.4-75.6%)で累積成功率に有意差は認められませんでした。しかし、頬舌的TOC20度未満(95.3%、95%信頼区間 93.9-97.3%)と20度越え(51.6%、95%信頼区間 34.5-68.7%)では成功率に統計的有意差を認めました(図5)。

前歯部に装着された94本の冠のうち、78本が上顎、16本が下顎で、73本が切歯、21本が犬歯でした。対合歯の状態は54本が天然歯、40本が修復歯でした。

採用した冠、除外した冠でベースライン時の特性を比較したところ、顕著な差は認められませんでした(表2)。これはフォローアップからの脱落に関連する選択バイアスが限定的であることを示唆しています。

8本のCAD/CAM冠にトラブルが認められました。これらは破折と脱離に分類されました(表3)。脱離した冠は全て再装着することができました。

しかし、4名の患者はCAD/CAM冠の破折を経験し、レジン前装冠での再製作が必要でした(図6)。

トラブルあり群となし群での比較では、単変量解析において頬舌側TOCで有意差を認めました(表3)。

Cox比例ハザード分析においても、単変量解析の結果と一致しました。冠の場所(上顎vs下顎、切歯vs犬歯)では有意差を認めませんでした。対照的に、頬舌側TOCでは有意差を認めました(表4)。これから頬舌側TOCが20度より大きいと、20度未満の場合よりもトラブルリスクが有意に大きくなることが示唆されました。

考察

本研究に含まれる94本のCAD/CAM冠において、4本で耐久性の高いコンポジットレジン材料に著しい損傷を伴うクラウン破折が認められました。前歯部CAD/CAM冠は5年間臨床的に問題無いパフォーマンスを示すという最初の仮説は、良好な5年生存率、成功率により実証されました。しかし、支台歯形成はトラブル発生に影響しないという2つ目の仮説は、頬舌側TOCが20度より大きいと有意にトラブルリスクが認められるため、否定されました(注:緒言の一番最後の仮説は支台歯形成はトラブルリスクに影響するというものだったはずなのですが、ここでは反対になっています)。

過去の小臼歯CAD/CAM冠についての後ろ向き研究では、3-4年間の生存率は約96.4%、成功率は71.7~77.4%でした。同様に、大臼歯CAD/CAM冠の3年間の生存率、成功率は約86.5%、49.5%でした。本研究の結果は、過去の研究と一致しています。他の前歯部クラウンとの比較では、175本のオールセラミックを扱ったある臨床研究では、6年間のフォローアップでの成功、失敗率は98.9%、1.1%でした。加えて、オールセラミッククラウンについてのシステマティックレビューでは、5年間の生存率は92.6%~96.5%と報告されています。材質は違いますが、これらの結果は、本研究の5年生存率95.6%とほぼ同じでした。

結局、本研究における前歯部CAD/CAM冠の生存率、成功率は、過去に報告されたものと一致しました。加えて、Beckerは適切な支台歯に装着した陶材焼付鋳造冠単冠の6、12、18年後の生存率をそれぞれ93.9%、83.1%、76.1%と報告しています。前歯部において、CAD/CAM冠がこれら従来の補綴物と同等の長期的なアウトカムを得られるかは不明です。

Cox比例ハザード分析では、頬舌側TOC以外で有意差のある項目はありませんでした。これから過度なテーパーとクラウンのトラブルに関連性があることが示唆されました。頬舌側TOCが20度より大きい場合、前歯部CAD/CAM冠のトラブルリスクも大きくなりました。20度というカットオフ値は、確立された補綴学の原則および先行研究の結果に基づき選択しました。ガイドラインでは、各軸面は約6-10度のテーパーが推奨されており、全部被覆冠だとTOCは12~20度となります。TOCが20度より大きいと、維持形態、抵抗形態が損なわれ、トラブルリスクが増加します。そのため、頬舌側TOC20度を本研究では臨床的境界値として採用しました。頬舌側TOCと近遠心TOCの両方を測定しましたが、殆どのケースで、近遠心TOCは推奨値の12~20度であり、トラブルとその有意な関連は認めませんでした。対照的に頬舌側TOCは大きな幅があり、トラブルリスクの上昇と関連しました。前歯は機能時に主に唇舌方向の荷重を受けることを考慮すると、頬舌側TOCは抵抗形態や保持形態に決定的な影響を及ぼす可能性があります。生体力学的な観点から、過度な頬舌側のテーパーにより、効果的な軸面高さが減り、機械的維持や抵抗が損なわれ、そのため、CAD/CAM冠が脱離や破折するのかもしれません。過去の臨床研究では、頬舌側TOCは7.4~35.7度と幅広く、テーパーの増加は補綴物のトラブルの潜在的なリスクファクターでした。これらは本研究でみられたトラブルパターンと一致しています。とはいえ、頬舌側TOCが20度より大きい事はトラブルと有意に関連しますが、ハザード比の信頼区間は非常に幅広く、トラブルイベントの数が少ないため限定的な正確性を反映しています。そのため、これらの知見は、独立した危険因子の決定的な証拠というよりは、探索的かつ仮説生成的なものとして解釈されるべきです。

本研究では結果を解釈する際に考慮しなければならない、いくつかのlimitationがあります。まず複数のクラウンをセットした患者がいるため、患者レベルのクラスタリングについては、多階層生存分析を用いて対処しました。しかし、この後ろ向き単施設研究では、同一患者内での相関を完全に排除することはできませんでした。第2に、スキャンされた石膏模型から再構築したSTLデータを用いて後ろ向きに頬舌側TOCの計測が行われました。再現性を高めるために、予め定義した基準平面を用い、口腔内の状況を知らない訓練された計測者1名が3回繰り返し計測しました。しかし、ある程度の計測のばらつきは避けられませんでした。第3に、フォローアップからの脱落は潜在的バイアスの原因となりました。第4に、後ろ向き研究のため、診療録や技工指示書から得られる利用可能なデータが限定されており、補綴物製作過程の全ての詳細を得ることは困難でした。接着操作は施設内で統一化されていたものの、治療願望と審美性要求に関する患者のモチベーションのような、CAD/CAM冠選択に影響しそうな要因は完全に調査することができませんでした。さらに、CAD/CAM冠の選択は、担当歯科医師の臨床的判断に基づいており、審美性要求の高い患者に高頻度で選択された可能性があります。そのため、潜在的な選択バイアスがありえます。フォローアップからの脱落理由が不明であったため、生存率および成功率は、いずれかの方向にバイアスが生じていたかもしれません。フォローアップ脱落者がCAD/CAM冠にさらなるトラブルを経験していたとするなら、実際のトラブル率は過小評価されているかもしれません。逆に、トラブルを経験していなかったなら、実際のトラブル率は過大評価されていることになります。加えて、観察されたトラブル数が8例とかなり少なく、リスク因子分析の結果の解釈は限定的です。トラブル数の少なさは、ハザード比の押し上げ、信頼区間幅の増大につながり、リスクの拡大解釈が起こる可能性があります。そのため、リスク因子分析に組み込まれた変数は、その臨床的関連性に基づいて予め選択されたものであり、その結果は決定的なものではなく、あくまで探索的なものと解釈すべきです。頬舌側TOCとトラブルの関連性は、仮説生成的なものと見なすべきであり、より大きな前向き研究において確認が必要です。

本研究では、主なトラブルは脱離と破折でした。脱離は比較的早期に高確率で起こりました。これは小臼歯、大臼歯CAD/CAM冠における過去の研究と同じ傾向です。しかし、脱離した冠全てを再装着することができました。脱離は臨床的にリカバー可能なイベントであることが示唆されました。本研究では、脱離と破折が全く同じ数(4例)でした。前歯部CAD/CAM冠において、脱離のリスクだけではなく、破折の可能性にも注意を払うべきである事が示唆されました。前歯部クラウンの破折は、前歯部領域特有の生体力学的環境、パラファンクションの力、歯冠形態のバリエーションなどに影響される可能性がありますが、本研究では調査していません。加えて、Kudoらによるin vitroの研究では、前歯部レジン前装CADCAM冠の破折パターンは、荷重方向と前歯部領域の生体力学特性に強く影響されていることが報告されており、前歯部は本質的に破折しやすいという概念を支持しています。さらに、CAD/CAM冠用のコンポジットレジンの材料特性、例えばセラミックと比較した低い曲げ強さ、はくり返し機能荷重での破折しやすさに寄与しているかもしれません。これらの要因が相まって本研究で観察された破折イベントを説明できるかもしれません。大きなサンプルサイズとトラブル数を有する前向き研究が、本研究で示唆された関連性を確認するのに必要です。

結論

前歯部CAD/CAM冠は高い生存率を示しました。しかし、頬舌側TOCが20度を超えると臨床的アウトカムに悪影響が出るかもしれません。さらに、過度な頬舌側TOCは、残存歯数、支台歯の位置などといった要因よりも、前歯部CAD/CAM冠のトラブルと高い関連性があるかもしれません。

まとめ

久々に英語の論文を1本全部読みましたが、あまり長くもなく英語も比較的平易で読みやすかったです。リハビリには丁度いいぐらいでした。

前歯部CAD/CAM冠って私はやったことがなかったのですが、この論文をみると生存率、成功率もなかなか高いのでやってみても良いかなと思いました。私がまず考えているのは上顎の切歯への使用です。下顎切歯はかなり細いので、CAD/CAM冠に必要な形成量の確保が難しい、犬歯はガイドの長期的な管理という意味でCAD/CAMはちょっと不安があります。この研究においても下顎切歯はかなり症例数が少ないのは、CAD/CAM冠が下顎切歯には向いてないという事ではないかと思います。図5にあるように犬歯の累積成功率は切歯と比べかなり落ちてます。サンプル数がかなり小さいので、なんとも言えない所ですが、やはり犬歯のガイドで脱離したり破折するリスクがある程度あるんじゃないかと思います。ここらへんはサンプル数が増えれば結果がかなり変わりそうな感じがします。

トータルの5年累積成功率は90%を超えているのに、上顎、下顎、切歯、犬歯に分解すると90%、下手すると80%を割ってしまうのもサンプル数が少ないからでしょうか?

今回フォーカスされている変数は頬舌側TOCなんですが、クリアランスと軸面の高さが考えられると思います。軸面の高さとTOCにはある程度関連性がありますが、やはり軸面の高さが低いとはずれやすいんじゃないの?とは思います。勿論ですがクリアランスがギリギリだった場合、破折のリスクが上がるんじゃないかと考えるのも普通でしょう。
審美性を考慮するとCAD/CAM冠の支台にメタルコアはそうは数は多くないと思うんですが、支台歯の被着面が象牙質、レジン、メタルでも変わりそうです。今回PanaviaとSA Lutingの2種類のセメントが使用されていますが、片方は通常のレジンセメント、片方はセルフアドヒーシブセメントであり、これも脱離に影響する可能性があり得るのではと思いました。

とりあえず、上顎前歯部の1、2番あたりでTOCをちゃんと形成できる歯でやってみようかなと思いました。

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東京医科歯科大学(現東京科学大学)卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
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