普通の歯科医師なのか違うのか

失活歯は最大咬合力が生活歯よりも大きくなる

 
この記事を書いている人 - WRITER -
5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学
岩手医科大学

今回は歯科雑誌を読んでいて気になった論文を読んでいきたいと思います。失活歯がなぜ破折しやすいかは色々な考え方がありますが、歯質自体が脆くなる、という説明を患者さんにしている歯科医療従事者は多いと思います。しかし、実は別の理由があるかもしれない、というのが今回の論文です。2017年の論文でヨルダンの先生方の論文です。

Higher Maximal Occlusal Bite Force in Endodontically Treated Teeth Versus Vital Contralateral Counterparts
Lama Awawdeh Khalid HemaidatWael Al-Omari
J Endod. 2017 Jun;43(6):871-875. doi: 10.1016/j.joen.2016.12.028. Epub 2017 Mar 28.

PMID: 28359663

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28359663/

Abstract

Introduction: Decreased sensitivity to occlusal load could lead to a greater risk of damage to endodontically treated teeth. Therefore, this study aims to test whether root canal treatment reduces the sensitivity of the treated teeth to occlusal load.

Methods: This is a comparative cross-sectional study of 124 patients who received root canal treatment. Treated teeth were compared with vital teeth on the contralateral side. After interviews with participants, their maximal bite forces (MBFs) of their root canal-treated and contralateral untreated teeth were measured using a digital bite fork force transducer. Data were analyzed by comparing the mean MBF of root canal-treated and control teeth.

Results: The mean MBF (± standard deviation) was 226.6 N (±168.7) for root canal-treated teeth and 207.93 N (±158.08) for control teeth. Root canal-treated teeth had a significantly higher difference in the mean MBF than the control group (P < .0001) using the paired sample t test. A univariate analysis test showed that differences in the MBF were affected by molar relationship, overbite, and the quality of root filling.

Conclusions: The difference in the MBF was significantly higher in root canal-treated teeth, which is consistent with the function of dental pulp as a highly sensitive sensor. Therefore, the reduction in the sensitivity of teeth to an applied load after pulp removal may increase the risk of overloading. This may, in turn, increase the frequency of tooth damage after root canal treatment.

イントロ:咬合力負荷への感覚が鈍くなることは、歯内治療歯のダメージリスクを大幅に上げることに繋がるかもしれません。そのため、本研究の目的は歯内療法は咬合力負荷に対する感覚を鈍くするかどうかをテストすることです。

方法:本研究は歯内治療を受けた124名の比較横断研究です。歯内治療歯と反対側の生活歯を比較しました。問診後に、歯内治療歯と反対側の生活歯の最大咬合力(MBF)を測定しました。最大咬合力の平均値を比較しました。

結果:MBFの平均値は、歯内治療歯で226.6±168.7N、生活歯で207.93±158.08Nでした。歯内治療歯のMBFの平均値は生活歯よりも有意に大きな結果となりました。単変量解析の結果から、MBFの違いは臼歯の咬合関係、オーバーバイト、根充の質に影響を受けていました。

結論:歯内治療歯は生活歯よりも咬合力が有意に大きくなりました。これは、敏感な感覚受容器である歯髄の喪失を考えると理解出来ます。そのため、歯髄が除去された歯の感覚低下は、過剰負担のリスクを増大させる可能性があります。これは、歯内治療後の歯のダメージ頻度を増加させるかもしれません。

ここからはいつもの通り本文を適当に抽出して意訳要約します。誤訳もあり得ますので、気になったら実際の本文をご確認ください。今回生理学的な論文を久々に読んだので訳がなかなか難しく苦戦しております。

緒言

歯髄は、人体で最も高密度に神経支配された組織の1つです。この神経支配レベルの高さの理由はとして考えられることは、過去に多くの注目を集めました。歯髄が痛覚のみ関与しているのか、それとも色々な感覚を有しているのかは、いまだ不明です。1つの可能性としては、神経支配が咬合力、咬合負荷を制御をアシストしているということです。咀嚼時の歯髄象牙質複合体の役割は充分に解明されたわけではありません。歯の歯髄を全て除去する歯内療法は、歯髄の役割を検討するのに、理想的なシステムです。

歯髄は有髄A線維と無髄C線維に支配されています。三叉神経脳幹複合核(VBSNG)は口腔顔面からの情報を中枢系へ伝達します。VBSNGの主な感覚核は主核で、頭頚部領域の触刺激に応答します。高密度の一次AおよびC求心性神経が吻側および尾側のVBSNCで終末を迎え、触覚は速伝導性の大径Aβ線維によって象牙質からVBSNCに運ばれます。主核に投射しているニューロンは、疼痛発生に対する十分な閾値を持っていないため、主核は侵害受容情報を処理しないと考えられます。

LoewensteinとRathkampは、機械的な力に対する閾値が生活歯よりも失活歯の方が有意に大きく、歯髄内の機械受容器が制御を担っている可能性を示唆しました(文献5)。この研究は、使用した歯の数が少なく、他の患者因子の影響を検討していません。切歯への刺激は常に痛みと関連するわけではありませんでしたが、その代わりとして咬筋の抑制効果が誘発されました。猫を使用したモデルでは、Dongらは生理的機械受容器が歯髄内にあることを初めて提示しました。彼らはAδ、Aβ繊維により速いインパルスがレセプターから届けられると推測しました。

歯髄内の神経繊維の殆どは、髄角の先端と咬合接触部付近の象牙質に集中しています。Aβ繊維は歯髄内の低閾値機械受容器に関連した触刺激を仲介します。トレース実験により、一部の歯髄求心性神経が三叉神経の主核と口唇核に投射していることが明らかになりました。これらの神経核はおそらく触覚応答の仲介に関連しています。Aβ繊維は歯髄から一次体性感覚野の歯髄表現領域へインパルスを伝達します。Robertsonらは、上顎切歯と下顎切歯は異なる歯内振動を認識することで、異なる食感を識別すると報告しています。

反射に参加し、痛みより他に応答する未確認の歯髄受容器が存在するかもしれません。そのような受容器の存在と象牙質に加わる荷重をモニターする役割は充分に解明されていません。エビデンスは、歯髄内に機械的な変形に応答して開口反射を起こす保護的なフィードバック機構が存在する事を示唆しています。この保護的機構は歯内療法後に欠如するかもしれません。これは、歯内治療後の破折の増加で説明することができます。Olgartらは歯冠の変形により象牙質内で感覚機構が活性化され、開口反射を仲介する事を示唆しています。彼らは、歯冠歯髄を除去して歯を冷却すると、開口反射が消失することを猫モデルで示しました。

機械受容器の存在は動物実験では確認されています。限られた数の古い研究では、人において痛みと関連しない受容器の存在を確認しようとしました。強力なエビデンスの不足と信頼できる臨床基準の欠如により、答えのない重要な疑問が残っています。痛みは歯髄から受ける唯一の感覚なのか?と歯髄は咬合力負担の制御を担っているのか?の2つです。我々は歯内療法後と反対側の生活歯の最大咬合力をオクルーザルフォースメーターを用いて測定しました。この装置は以前の研究により検証済みです。本研究の目的は、無髄歯、生活歯の最大咬合力をサンプルサイズを多く測定する事と、最大咬合力に与える要因数の効果を明らかにすることです。

実験方法

患者

2011年2月から2012年3月までにJordan University of Science and Technologyの初期治療ユニットを訪問した全ての患者を本研究の採用基準でスクリーニングしました。口腔内診査を行い、採用基準に該当するかを決定しました。採用基準は最低でも全身状態が良好であり、歯内療法済みの歯があり、反対同名歯が生活歯であることです。
除外基準は以下の通りです。
1 矯正治療中
2 固定性補綴の支台歯
3 衝撃に弱い
4 鎮痛薬、ステロイド、抗うつ薬などの疼痛閾値を変えるような薬剤を服用中
5 対合歯がない
6 試験歯がクロスバイト
7 試験歯が歯周病

データ収集と臨床試験

スクリーニング後、患者の年齢、性別、体重、身長を記録し、BMIを算出しました。データは1名の実験者が集計しました。

臨床検査には、口腔内、口腔内のルーティンな検査が含まれます。口腔外では、顔面対称性、咀嚼筋、顎関節を検査しました。口腔内では、静的な咬合状態と、臼歯部のアングル分類を検査しました。加えて、オーバーバイト、オーバージェットを記録しました。さらに、歯内療法済みの歯と、対称の生活歯も調査しました。歯内療法は最低でも1か月前には終了しており、MBFに影響を与えるような痛みや歯周組織への震盪などがない事を確認しました。

歯内療法済みの歯と対称歯への修復処置も考慮されました。アマルガムまたはCR、クラウン、ポストクラウンが歯内療法済みの歯で許容され、対称歯ではアマルガムとCRが許容されました。生活歯であるかを確認するためにコールドテストを行いました。

デンタルX線写真を撮影し、歯内療法済みの歯においては根充の質などを調査しました。デンタルは平行法で撮影しました。根充の質は、Santosらに従って、根尖拡大、均質性、およびテーパーによって分類しました。3つ全て該当すれば理想的、2つ該当すれば満足、1つまたは0の場合は不十分な根充と判定しました。

X線写真は歯の全体的な状態と歯周組織の評価にも使用されました。歯内療法済みの歯は正常、わずかに根尖部の歯根膜腔の拡大、根尖病変が存在の3つに分類しました。

最大咬合力(MBF)の測定

最大咬合力はオクルーザルフォースメーター(GM10 長野計器)で測定しました。最大咬合力は痛みがない状態で5秒間、痛みがあるようなら直ぐに咬むのをやめます。最大咬合力は歯内療法済みの歯と対称歯を交互に1分休憩を挟みながら3回ずつ測定しました。

統計解析

両群の年齢、性別、BMI、口腔外検査結果、口腔内検査結果、根管治療歯とコントロールの歯の口腔内変数、X線写真の変数について度数分布を作成しました。群間のMBFの平均値の差を対応のあるt検定で解析しました。MBF平均値の差と他の因子(年齢、性別、BMI、顔面対称性、咬合状態など)との関連は多重解析を用いて解析しました。単変量解析と推定限界平均を用いて、相関の有意性を判定しました。

結果

特徴

124名の患者が本研究に参加しました。80%が40歳未満で平均年齢は30.86歳、14~50歳の範囲でした。60%は女性で40%が男性でした。平均BMIは25.42でした。全ての患者は顔面対称、下顔面部の高さは正常81.3%、高い16%、低い2.7%でした。52.4%が臼歯、47.6%が前歯でした。

最大咬合力

歯内療法済みの歯の最大咬合力は226.58±168.7N、コントロールの最大咬合力は207.93±158.08Nでした。各群間で有意差が認められました。クロンバックのα係数は、X線写真による歯の状態評価と根充の品質評価で0.67であった。

咬合力に影響を与える因子

歯内療法済みの歯とコントロールの歯、対合歯の修復物の状況を表1に示します。対合歯とコントロールの多くは健全歯でした。歯内療法済みの歯のアマルガムとCRの比率はほぼ同じでした。根充の質は、ほぼ半分(55%)が理想的、18%が満足、26.7%が不十分でした。歯内療法済みの歯の根尖部に異常を認めなかった歯は53.3%、根尖病変32%、歯根膜腔の拡大は14.7%でした。

咬合力に影響を与える因子を単変量解析し、周辺平均値を推定しました。解析の結果によると、最大咬合力(MBF)の違いは、臼歯部のアングル分類、オーバーバイト、根充の質に影響を受けることがわかりました(表2)。オーバーバイトが深い、浅い患者間のMBFの違いについても、同様の推定限界平均値が観察されました。しかし、オーバーバイト正常の患者群においても、歯内治療済みの歯と、コントロール歯の間にMBFに有意差が認められました。

全ての変数を単変量解析に組み込みましたが、有意に影響しているのは表2に示す変数のみでした。他の変数(例:年齢、性別、BMI、骨格、下顔面高、切歯の関係、オーバージェット、根尖部の状態)はMBFに影響を与えない結果となりました。

考察

咬合力の計測は咀嚼のメカニクスを理解し、顎口腔系における障害を診断するために広く使用されています。本研究において、咬合負荷の同定とコントロールにおける歯髄の重要性を調べるために、歯内療法済みの歯の咬合力を計測しました。歯内療法済みの歯の最大咬合力(MBF)は、生活歯である対称同名歯と比較して有意に大きく、歯髄が敏感なセンサー機能を有していることが示唆されました。この発見に基づき、咀嚼中に有害な圧を検出し歯を保護するような非疼痛関連機能を有する受容器がヒトの歯には存在するのではないかと推測しました。

本研究では、歯内療法済みの歯の平均MBFの差は、対称同名歯よりも有意に大きくなりました。これは、触閾値が失活歯の方が大きい事を観察したLoewensteinとRathkampと一致します。加えて、RandowとGlantzは、カンチレバーによる負荷では、失活歯の平均疼痛閾値は生活歯の2倍以上になったと報告しています。

逆に、Lindenは上顎中切歯において歯髄の有無による触閾値の有意な違いはなかったと報告しています。著者らは、咬合力の差は根管治療後の歯根膜感染による歯根膜の変性で説明できると主張しました。

我々の結果は、Woodmanseyらの報告とも一致しません。本研究と似たアプローチですが、彼らは歯内療法済みの歯と対照歯の咬合力を測定しました。歯内療法済みの歯の咀嚼機能をインプラント支持の補綴物と比較する目的です。同じ機器を使用しましたが、歯内療法済みの歯と対照歯で咬合力に有意差を認めませんでした。しかし、この研究はサンプルサイズが小さく、そのために有意差が出なかったのかもしれません。例えば、LoewensteinとRathkampは155本の生活歯の咬合力を計測しましたが、歯内療法済みの歯は21本しか計測していません。Lindenは上顎中切歯生活歯12本、失活歯6本の触閾値を比較し、RandowとGlantzは生活歯、失活歯5ペアのみしか計測していません。我々の研究は、より大きなサンプルサイズを分析した最初のものであり、それゆえ、歯内療法済みの歯のMBFを生活歯である対側歯と比較した最初の信頼できる測定値を提供するものです。

根尖病変が咬合力に与える影響を検討しました。歯内療法済みの歯における根尖病変は咬合力に有意な影響を与えませんでした。そのため、根尖病変は歯内療法済みの歯の咬合力増加の原因ではありませんでした。根尖組織のダメージは、歯根膜シグナルを混乱させるには不十分であるからかもしれません。歯根膜シグナルは歯の周囲全てから発生します。さらに歯根膜の広い受容領域は、1本の歯の範囲を超えて広がっています。

歯内療法済みの歯は生活歯よりも破折しやすいです(文献27)。破折は、象牙質の構造変化、歯の構造の喪失、保護的な歯髄反射の喪失などによります。構造的変化について数多くの研究がされてきましたが、保護的な歯髄反射の存在について検討した臨床研究は殆どありません。今回の結果が、反射の存在についてのエビデンスを供給しました。我々は、歯内療法による歯髄の喪失は固有受容感覚を低下させる、ということを提案します。それは、歯髄内の保護的フィードバック機構の喪失により説明出来るかもしれません。固有受容感覚の低下は破折の増加に寄与するかもしれません。

根管治療歯における歯質と修復材料の疲労破壊は、通常の機能的応力と、増加した機能的応力およびパラファンクションによる効力から生じる可能性があります。根管治療した歯の破折抵抗性を試験するために、生体外でさまざまな技術モデルが使用されています。サーモサイクルを同時に行い、サイクル数を変えた動的負荷は、臨床に最も近いモデルです。これらのモデルで適用される荷重は、サイクルカウントを変化させながら、30Nという低荷重から1200Nまで幅広く変化します。なぜなら、生体内では、咀嚼における力の方向の変化など、動的負荷手順ではシミュレートできない追加的な要因が存在するからです。

歯根膜中の機械受容器は歯にかかる力のトルクを検知しますが、圧力や力の加わったポイントなどは検知できません。歯と歯根膜は歯冠部に加わった力に等しく影響を受けます。そしてこれは修復物のタイプには影響されません。歯冠部の修復物は最大咬合力に影響しないという我々の結果を支持します。

咬合力の値は、性別や年齢、歯列など色々な要素が影響するので慎重に比較されるべきです。我々はバラツキを減らすために本研究でできる限りの努力をしました。例えば、最低1本の歯内療法済みの歯と反対側同名歯の生活歯を有する健康な患者のみを被験者として採用しました。試験歯は同一個体内で対照歯と比較し、交絡因子を減らすのに役立つ多くの除外因子に加えて、交絡因子を最小化するために、年齢と性別によってグループをマッチングさせました。

本研究の被験者は若く(平均年齢31歳)、歯周組織が最大咬合力に与える影響が少なく、病歴の問題もあまりないと考えられます。

歯周組織の支持は機械受容器機能、咀嚼のコントロール、咬合力には重要です。歯周組織がしっかりした歯は、そうではない歯よりも咬合力が大きくなります。我々の最大咬合力の計測で歯周組織の影響をできるだけ排除するために、歯周病に罹患している歯を有する患者全てを除外しました。加えて、治療に関連した痛みや歯根膜の震盪などの交絡を排除するために、歯内療法後1か月以降に最大咬合力を測定しました。歯内治療後1か月間という待機時間は、治療の室にかかわらず、疼痛感覚が正常レベルに戻るのに充分な時間です。Hargreavesらは、神経成長因子を注射すると、最長で1ヵ月間、痛みを感じることがあると報告しています。このことは、歯内療法によって周辺因子がすべて取り除かれた後も、痛覚過敏の中枢メカニズムが持続することを示唆しています。術前の痛覚過敏は歯内療法後の疼痛の危険因子です。アロディニアと痛覚過敏は、歯髄がない場合、末梢からの入力がなくても持続する可能性があるため、1ヵ月の間隔をあけることで、被験者がMBFの正確な測定の妨げとなるような歯内療法後の痛みを経験することがないようにしました。

以前の研究では、MBFに影響を与える因子について検討しませんでした。今回は検討し、MBFとアングル分類、オーバーバイト、根充の質が最大咬合力と有意に相関しました。これらの因子から、咬合接触における保護的予防措置や修正を検討することが正当化されると提案します。

理想的な根充を行った歯の最大咬合力が大きくなった事は、適切な根充が治療のアウトカムに正の影響を有する事により説明されるかもしれません。根充の質が最大咬合力の差に影響するかもしれないが、一方で根尖病変の有無は影響しない、というのは興味深いです。Ørstavikによると、歯内療法に属する全てのケースでは、1年より長い期間でアウトカムを評価するべきです。根尖病変の存在は歯内療法のアウトカムを反映しません。根尖性歯周炎が治癒するのに1年、完治までは4年かかるケースもあります。本研究では、術前の歯根の状態は把握しておらず、横断研究のため根尖性歯周炎は歯内療法のアウトカムとして信用できる尺度ではありません。加えて、デンタルX線写真による根尖性歯周炎の像は完全に信用できるわけではありません。デンタルX線写真は3次元の物体を2次元で表現するので、歯や歯周組織の重要な構造を近遠心的に画像化します。これは、歯内療法済みの歯の質を正確に表現していません。

結論

本研究で得られた知見から、固有受容感覚、機械的感覚が歯内治療後に喪失することが示唆されました。これは機械受容器が仲介する保護的なメカニズムが、歯周組織と同様に歯にも存在する事を示唆しています。さらに、歯髄が咀嚼中の歯にかかる荷重のコントロールに参加し、歯を有害な圧力から保護している事も示唆しています。

歯内療法後の機械受容器の喪失により歯にダメージが加わる頻度が増加するかもしれません。このことは、歯の咀嚼機能をコントロールする歯根膜に依存しているため、根管治療を行った歯を修復する際には、咬合接触における保護的な注意と修正の必要性を強調しています。

まとめ

単純に歯内療法済みの歯とバイタルの歯の最大咬合力が違うというだけでここまで考察し、結論づけてよいのかはちょっと謎です。示唆が何段階もステップしている文章で、私は生理学には疎いですが、論理が跳躍している危険性がありそうな気がしました。ただ、歯内療法を行った歯で咬合力の抑制が効きづらくなるというのはあるようなので、これが歯根破折の原因の1つである可能性はあるでしょう。

抜髄すると歯質が弱くなる、というのはエビデンス的に確立されているのかは確認が必要でしょう。考察中に歯質の変化については論文が結構あると書いてありましたが、最近のものがあるかどうか確認したいと思います。

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同大学院修了
【非常勤講師】
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