シングルリテインジルコニア接着ブリッジの生存率についてのシステマティックレビュー
ジルコニアの臨床応用はドンドンと拡大しており、従来メタルで治療していた部分の多くがジルコニアに置き換わってきています。接着ブリッジにおいてもそれは例外ではありません。補綴学会の接着ブリッジのガイドライン(追補版)が2024年に出ており、前歯部への非金属接着ブリッジの使用が弱く推奨されています。弱く推奨、と言われるとなんとなく使えないのかな?という気持ちになります。実際どれぐらいのレベルなのか確かめる必要がありそうです。また、このガイドラインで検討されている論文は新しいもので2021年のものなので、今ならより新しい知見が出ているのでは?という気もします。
今回読む論文はシングルリテインの接着ブリッジにジルコニアを使ったもののメタアナリシスでJPDに2023年に掲載された論文です。
Do zirconia single-retainer resin-bonded fixed dental prostheses present a viable treatment option for the replacement of missing anterior teeth? A systematic review and meta-analysis
Ayad S A Al-Bermani , Niall P Quigley , William N Ha
J Prosthet Dent. 2023 Oct;130(4):533-542. doi: 10.1016/j.prosdent.2021.10.015. Epub 2021 Dec 7.
PMID: 34893319
Abstract
Statement of problem: Zirconia has been widely used in restorative dentistry because of its favorable strength and esthetics. However, its polycrystalline structure presents a challenge for resin bonding. Significant research into surface treatments of zirconia to improve bonding has been reported, yet a universally accepted protocol remains elusive.
Purpose: The purpose of this systematic review and meta-analysis was to evaluate the performance of anterior single-retainer zirconia resin-bonded fixed dental prostheses (RBFDPs) and review the bonding protocols used in the published data.
Material and methods: An electronic search of English language literature was conducted in the PubMed and Ovid (MEDLINE) databases. Following the application of inclusion and exclusion criteria, the research was evaluated to assess the quantitative data.
Results: Of the included studies, 1 randomized controlled trial, 3 prospective cohort studies, and 2 retrospective cohort studies reporting on anterior single-retainer zirconia RBFDPs were evaluated. Over a 3- to 10-year period, the success rate of anterior single-retainer zirconia RBFDPs was over 80%. Although there were reports of debonds, this is a minor complication as rebonding is usually possible. Furthermore, catastrophic fractures of the entire prosthesis were rare.
Conclusions: Evidence for the use of single-retainer zirconia RBFDPs as a suitable treatment option for the replacement of anterior missing teeth is considerable. Based on the findings of this systematic review and meta-analysis, a 2-step process comprising micromechanical retention using airborne-particle abrasion and subsequent resin-zirconia adhesion by the application of 10-methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphate (10-MDP) can be recommended.
問題点:ジルコニアは好ましい強度と審美性により幅広く使用されています。しかし、その多結晶構造はレジンセメントでの接着において課題となります。ジルコニア表面処理による接着性向上のための重要な研究が報告されていますが、普遍的に受け入れられるプロトコルは未だ確立されていません。
目的:本メタアナリシスの目的は、前歯部シングルリテインジルコニア接着ブリッジ(RBFDPs)のパフォーマンスを評価することと、その接着プロトコルをレビューすることです。
実験方法:PubMedとOvid(MEDLINE)にて英語の論文を検索しました。採用基準と除外基準に従い、定量データの評価を行いました。
結果:1つのRCT、3つの前向きコホート、2つの後ろ向きコホートを採用し、評価を行いました。3~10年間における前歯部シングルリテインジルコニア接着ブリッジの成功率は80%以上でした。脱離が報告されましたが、再装着が通常可能だったため、マイナーな合併症としています。また、クリティカルな破折はまれでした。
結論:前歯部シングルリテインジルコニア接着ブリッジが、前歯部欠損補綴に適したオプションであることを示唆するエビデンスは沢山存在します。今回のメタアナリシスの知見を元に、サンドブラストによる微細な機械的維持と、その後の10-MDPによるレジンージルコニアの接着という2ステップ操作が推奨されます。
ここからはいつもの通り本文を訳します。誤訳もあり得ますので、気になったら実際の本文をご確認ください。
緒言
前歯部欠損の審美的、機能的回復は、重要な臨床的課題です。歯科材料、レジンセメントの物性、接着プロコトルの進歩により、前歯部欠損補綴にジルコニア接着ブリッジが使用されるようになりました。シングルリテイン接着ブリッジは、侵襲が少なく、カリエスリスクも低いため、より大きな補綴物よりも推奨されます。支台歯間の異なる動きによる脱離も、咀嚼時のトルクや剪断力が最小限に抑えられるため、支台歯2本よりも少なくなります。単一支台歯補綴のさらなる利点には、審美性の向上、費用の削減、そして若年患者における治療オプションの維持があります。
1973年にRochetteは、エナメル質に接着性レジンを用いた接着性金属修復物を紹介しました。このテクニックは改良され、往年の接着性補綴物に応用されました。これは、穴が開いた金属修復物で、微細機械的維持に依存していました。残念ながら、非常に脱離しやすいものでした。
コンベンショナルな接着ブリッジは、コバルトクロムまたはニッケルクロムを用いた穴無しのフレームワークでセラミックを前装し、レジンセメントでセットします。Botelhoらは、生存率は10年で91%、15年で84%であったと報告しています。前歯部で維持を改良したカンチレバーブリッジ13症例(18年で100%)が報告されています。さらに最近では、Mourshedらは、前歯部のシングルリテイン接着ブリッジにおいて、材料全てで3年~18年の観察期間で80~100%と高い生存率を報告しています。生存には、観察期間中に口腔内で問題無く維持された場合と、脱離後に再装着できたものも含まれます。
審美性と生体親和性の侵害が、コンベンショナルな接着ブリッジの欠点かもしれません。金属のフレームワークにより支台歯が灰色になりやすいです。この灰色は、患者の最も多い不満であると報告されています。逆にセラミックの接着ブリッジでは、審美性の改善と高い患者満足度が認められました。しかし、セラミックのフレームワークはメタルに比べて有意に破折しやすかったです。
長石系陶材、ガラスセラミックと比較すると、ジルコニアは優れた機械的特性を有し、これにより前歯部カンチレバーセラミック接着ブリッジの破折を最小限にできるかもしれません。しかし、ジルコニアの接着は挑戦です。最近Blatzらは、長期的な臨床成功率を達成するためにジルコニアの接着に関し、APCコンセプトを紹介しました。このプロセスは3ステップで構成されています。A:サンドブラスト(ABPA)、10-MDPを含むジルコニアプライマー(P)、接着性レジン(C)。
接着性ブリッジは、支台歯の保存的形成を可能にし臨床的成功率を向上させるフレームワーク設計と接着操作の著しい発展とともに進化してきました。セラミックフレームワーク用コネクタの最小寸法は、水平方向2mm、垂直方向3mmです。エナメル質のトータルエッチングシステムも推奨され、今でもエナメル質接着のスタンダードであると見なされています。加えて、装着前のラバーダムは、汚染を最小化し、接着ブリッジの生存率を有意に向上します。ジルコニアの接着効果(efficacy)についての最近のシステマティックレビューでも、高い生存率を達成するためにラバーダムによる隔離を推奨しています(文献25)。
本メタアナリシスの目的は、審美領域でのシングルリテインジルコニア接着ブリッジの生存可能性を評価し、利用できる接着プロトコルを徹底的に鑑定することです。最新のエビデンスを特定するために、2010年以降の検索データを使用しました。
実験方法
本メタアナリシスはPRISMAに従い行いました。検索したキーワードは表1の通りです。

焦点である質問「ジルコニアシングルリテイン接着ブリッジは、前歯部欠損補綴において有効な治療オプションか」は、対象集団(Population)、介入(Intervention)、対照群(Control)、結果(Outcome)というPICO形式を用いて構築されました。全てのタイトルと抄録を表2に示す採用、除外基準に従ってスクリーニングしました。

アウトカムは表3に示す成功率、生存率、失敗率としました。

残った6つの論文について、2018年に開発され、歯科補綴における論文選択のための質問表(QDP)と呼ばれる15パートの質問表で科学的な質を検討しました。この方法はCASP、GRADE、MINORS criteraといった基準に基づいています。評価の資格を得るために、まず2つの質問に、はい、いいえで答える必要があります。論文の質はよい(15点満点中12~15点)、中間(9~11点)、悪い(0~8点)で分類しました。QDPのスコアを表4に示します。6つ全てがバイアスリスクが低いと考えられました。

成功率を決定するために6つの論文を用いてメタアナリシスを行いました。脱離までの期間および検閲までの期間に関するデータは入手できませんでしたが、検閲データを用いたKaplan-Meier推定グラフが入手可能な場合、ソフトウェアプログラム(Digitizelt; Bormisoft2)を用いて脱離の日付および検閲までの期間を算出しました。これは、Guyotらが発表したテクニックに従いました。KlinkとHüttingに連絡を取り、ケンエツデータを提供してもらいました。Kernらは検閲データを公表しておらず、連絡を取った際にも提供しなかったため、彼らの研究はKaplan-Meier推定から除外されました。ABPAの有無による成功率をKaplan-Meier推定(α=0.05)を用いて評価しました。
結果
PRISMAフローチャートから得られた文献検索の結果を図1に示します。133の文献をピックアップし、そのうち118をスクリーニングで除外し、15の文献が可能性ありとして残りました。抄録を調査したところ、7つが全ての文章を評価可能であり、そのうち2つが同じ患者データを使用していました。そのため、より長い観察期間の方を採用しました。

シングルリテインの前歯部ジルコニア接着ブリッジについての文献は2010~2019年でトータル6本でした。データの抽出と要約を表5に示します。

臨床プロトコルと失敗理由を表6に示します。

6本の研究中4本で、隣接面に小さいボックス形態、基底結節にグルーブといった似た形成が採用されていました(図2)。隣接面のボックスは挿入方向とコネクター部の適度な厚みを提供し、さらにノッチがフレームワークの装着を補助しました。応力分布を分散するため、全ての鋭角を丸めました。ジルコニア接着面は、全ての研究において50μmアルミナを用い、0.1~0.25MPaの間でサンドブラスト処理されていました。

SailerとHämmerleは、維持力向上のための近遠心の垂直的なグルーブと、舌側または口蓋側の基底結節にスロットを付与しました。Shahdadらは形成しませんでした。この2つの文献では、メーカー推奨通りリテーナーの被着面は清掃、シラン処理を行っています。
ラバーダム防湿とリン酸によるセレクティブエッチングは4つの文献で報告されています。逆にShahdadらはラバーダムなしでセルフエッチングプライマーを使用しました。KlinkとHüttigもセルフエッチングプライマーを使用しましたが、ラバーダムには言及していません。
ジルコニアプライマーは4つの文献で使用され、このプライマーの使用はセメントに依存していました。SasseとKernは10-MDP、接着性モノマーを含むセメント(Panavia 21)を使用したため、プライマーは必要ありませんでした。SailerとHämmerleは、接着性レジンセメント(Panavia 21)を使用する前にシラン処理を行いました。6つの文献中の全ての接着ブリッジはPanavia 21、Multilink Automix、Variolink Estheticのいずれかのセメントで装着されました。セメントとプライマーの構成を表7に示します。

採用基準に従い、トータルの接着ブリッジの数で口腔内に維持されている数を割り、成功率を計算しました。表8に要約を示します。表8は、ABPAを使用した場合の生存率の違いも説明しています。サンプルサイズと年間成功率を組み合わせた累積平均を用いて、統合された年間成功率を算出しました。

図3に成功率を、図4にKaplan-Meier推定を示します。ABPAを使用した場合、130か月で成功率は94.5%でした。しかし、ABPAを使用しなかった場合には、92.2か月で成功率は81.7%に過ぎませんでした。Gehan-Breslow-Wilcoxon testによる、ABPAありとなしでのKaplan-Meier推定の比較では有意差を認めました。さらに、Mantel-Haenszel testでは、ABPAありと比較したABPAなしのHazard比は3.9(95%信頼区間 1.3-11.9)となりました。そのため、ABPAありの失敗1件に対し、ABPAなしの失敗は3.9件でした。


考察
SasseとKernは、外傷により脱離、問題無く再装着した症例が2例ありましたが、最終的に5年生存率が100%だったことを報告しています。生物的な合併症は、微細な歯のローテーションとカリエスに限定されました。ローテーションはスプリントにより矯正、カリエスはCRにて修復され、両者ともに機能しています。脱離のみを技術的失敗と考えるなら、5年成功率は93.3%でした。Kaplan-Meier法によると、62か月で接着ブリッジの合併症がない確率は89.4%でした。この研究結果の信頼性は、接着システムの製造元であるIvoclar AGからの支援があったため疑問視されています。
SailerとHämmerleは装着6か月以内に2例脱離したと報告しています。30μmのアルミナサンドブラストで10cmの距離から0.2MPa圧で処理した後にシラン処理を行い、両者ともに問題無く再装着できました。4年後の生存率は100%で、その後の論文でも平均10年後でも生存率100%でした。
SasseとKernは40例の接着ブリッジをレビュー対象としました。2例は欠損した側切歯を補綴するために、近心側をスプリントした4本ブリッジだったため除外しました。外傷による脱離を報告しており、セメントがブリッジのウィング部とエナメル質に同量程度残存していました。これは、ジルコニアーレジンの接着は適切であったことを示唆しています。脱離したブリッジも問題無く再装着でき、6年での生存率は100%でした。
KlinkとHüttigは、リテイナー部の咬合は中心咬合位のみで、偏心位での接触を与えないよう調整しました。切縁接触のない下顎のocclusal guard(おそらくナイトガード的なもの)を全ての患者に提供しました。1名がコンプライアンス不良で離脱しました。その他に、装着後の歯の移動がありました。これは、矯正治療後の保定不足によるものでした。微細なポンティック部のチッピングが2例ありました。また、装着8か月で脱離が1例ありました。脱離を失敗した場合の生存率は、Kaplan-Meier法から95.5%と推定されました。ブリッジの除去が必要な合併症はなく、36か月での生存率は100%でした。
Kernらによると、6件の脱離を報告しており、3件は外傷の後に生じ、残り3件は原因不明でした。6件全てが再装着可能でした。加えて、1件はポンティックの小さなチップの後に、患者の要求により除去しインプラント支持のクラウンに置き換えました。Kaplan-Meier法によると、生存率は98.2%でした。しかし、患者の要求により接着ブリッジを除去した際には、接着ブリッジは機能していたので、生存率は100%であると考える事もできます。この研究が最も多いブリッジ数、最も長い観察期間でした。しかし、6人の患者(7.4%)に行った8つの接着ブリッジはドロップアウトしたと考えられます。さらに、28名(31%)、32ブリッジは電話による調査のみでした。
Shahdadらの研究では、いくつかのブリッジが対合とのスペース不足によりハイパーオクルージョンでセメンテーションされました。しかし、ブリッジの生存に差は認められなかったと報告しています。10例の失敗があり、装着後12か月以内に起こったと報告されています。失敗のうち9例が脱離で、主にレジンセメントとジルコニアの界面で起こり、フレームワーク部にはセメントが残っていなかったと記載されています。1例は専門的な判断により、機能していた前歯部のブリッジを除去してインプラント支持のクラウンに変更しました。脱離したブリッジのうち、5例は問題無く再装着でき、残りの4例は患者の要求によりインプラント支持のクラウンに変更しました。レジンセメントとリテイナーの接着強さを向上するために、再装着前に50μmのアルミナサンドブラストを行いました。37例の前歯部接着ブリッジのうち7例が脱離し、4例はインプラント支持クラウンに、3例は再装着しました。35か月後に1例に小さな亀裂が報告されています。Kaplan-Meierによる生存率は3年で82.7%でした。しかし、全てのブリッジが除去前に機能していたことから、生存率は100%だったと考える事ができます。
前歯シングルリテインジルコニア接着ブリッジの生存率は、採用した研究で破折が報告されていないため、100%と考える事が出来ます。さらに、再装着したブリッジは機能的、審美的に満足いく状態が維持されており、さらなる合併症はありませんでした。これらの所見は、前歯部陶材焼付カンチレバーブリッジの場合とほぼ一致しています。10年間でのジルコニア接着ブリッジの脱離率は14.3%で、メタルフレームワークを用いた接着ブリッジの10年間での脱離率13.3%とほぼ同レベルでした。
KlinkとHüttigによる評価では、セルフエッチングおよびセルフプライミングを用いたシステムは、エナメル質への接着性がトータルエッチング法に劣ることが報告されています。未処理エナメル質への接着が行われた場合、セルフアドヒーシブが酸抵抗性の高い非プリズム層を脱灰する効果については疑問が呈され、接着性を損なう要因と見なされてきました。そのため、リン酸を用いたエナメル質のエッチングが推奨され、6つの文献中4つで報告されています。
その他の要因、例えば術者の経験、患者の生活習慣、静的、動的咬合、歯周病の安定性などが、臨床的な成功に有意に影響するかもしれません。オクルーザルアプライアンスの使用は、特にブラキサーの脱離リスク、付随する誤飲、誤嚥リスクを低下するかもしれません。
確認した利用できる接着プロトコルの効果に関して、本メタアナリシスは、アルミナ粒子を含ABPAを使用し、その後10-MDPを含接着性レジンを使用する事で、臨床現場においてジルコニアとの長期的な耐久性のある接着が確立されることが示されました。本結果は、熱サイクルまたは水中保存による長期経時変化後、ABPAおよび10MDP含有接着レジンまたはジルコニアプライマーを使用した場合に十分な接着性が認められたとするin vitro研究を裏付けるものです、
トライボケミカルシリカコーティング後の接着促進にシランの使用が有効であることが示されています。しかし、シラン処理の前にABPAを行った実験室の研究では、ジルコニアとレジンセメント間の接着強さに有意な改善を認めませんでした。これは、ジルコニアにシランカップリング剤を使用した接着ブリッジの18.9%が脱離した事を臨床的に支持しています。脱離したフレームワーク上にセメントを認めなかった事から、脱離はフレームワークーセメント間の接着失敗に起因すると考えられました。
6本の文献のうち、4本が0.1~0.25MPaでABPAを行っていました。ABPAは成功率に有意に影響したので、推奨されます。臨床的に表面処理が行われなかった場合、期待を下回る成功率が報告されました(図3)。しかし、抵抗形態を付与する形成デザインは脱離率にポジティブな影響を与えるかもしれません。

アルミナを用いたABPAは、表面積を増加、微細な機械的嵌合を目的とした表面の粗造化に加え、接着面から汚染物を除去することによる清掃も含みます。ABPAのありなしを比較したIn vitroでの研究では、ABPAありはジルコニアとレジンセメント間の接着強さが有意に増加すると報告しています。しかし、ジルコニア表面にABPAを行う事の有効性について矛盾した報告もあります。機械的強度の増加と減少の両方が報告されており、欠陥や微小亀裂の発生の可能性が指摘されています。Kernらは、ABPAの圧力を0.25から0.1MPaで変化させ、生存率が低下しないことを報告しています。これから、ダメージを抑えつつジルコニアの表面処理を行うために、0.1MPaが好ましいかもしれません。
最終的に、アルミナを用いたABPAと10-MDP含有のレジンセメント、またはジルコニアプライマーの併用により、ジルコニアとの耐久性の高い接着が期待でき、高い成功率に繋がります。これは、Blatzらにより提唱された、臨床的に高い長期成功率を達成するためのAPCジルコニアボンディングコンセプトと一致しています。しかし、in vitroの研究では、サンドブラスト処理されたジルコニアに、MDP含有レジンセメントを使用する方が、ジルコニアプライマーとレジンセメントを併用するよりも高い接着強さを認めました。興味深い事に、5年間では臨床的にこの差は現れませんが(脱離率6.3% vs 7.1%)、10年では明らかな差を認めるかもしれません(脱離率4.3% vs 14.3%)。
結論
本メタアナリシスで得られた知見から得られた結論は以下の通りです。
1 シングルリテインジルコニア接着ブリッジは、前歯部欠損補綴において高い成功率、生存率であり、有効な治療オプションです。
2 ABPAを用いた微細構造による維持、その後のラバーダム防湿下で10-MDP含有レジンセメントまたはジルコニアプライマーを用いた化学的接着によるレジン-セラミック間の接着の2ステップ法が推奨されます。
3 インプラントが禁忌または外科手術を必要とする患者において、シングルリテーナージルコニア接着ブリッジは、より手頃な価格であり、診療時間を短縮し術後ケアの必要性を最小限に抑える選択肢を患者に提供します。さらに、従来の接着ブリッジよりも審美性に優れ、ガラスセラミックよりも強度に優れています。
まとめ
これはメタアナリシスとして評価してよいものか?というように自分は感じました。殆どシステマティックレビューではないでしょうか。メタアナリシスの場合、各研究の異質性の検討などメタアナリシスの妥当性の検討が結果と考察にあるのが一般的かと思いますが、そういうものが一切ありません。全ての研究の質がGoodだったとしても実験方法が全て同じだったわけではないですし、統合データとして扱うなら、データの整合性は重要な話だと思うのですが?
また、考察もかなり強引で、インプラントに結局したけど、接着ブリッジでも充分機能してたはずだから、実質の生存率は100%!となっています。それはさすがに違うと思います。ただし、モノリシックジルコニア接着ブリッジでも破折は殆ど無く、予後は陶材焼付での接着ブリッジとほぼ同等程度かなという印象はこの論文から得ました。
形成については、図2に示すようなものが一般的なものみたいですね。自分は基底結節にスロットというかディンプル?みたいなものはつけていなかったので、もし次接着ブリッジをやる機会があるようならこれも採用していこうと思いました。数は少ないですが、当院でも接着ブリッジになるケースがありますし、今後増えて行くかもしれません。

ジルコニアにサンドブラストとMDP処理してない人はさすがにいないと思いますが、サンドブラストの圧が重要なんだな、ということを再認識しました。圧をしっかりコントロールしながらサンドブラストできる商品、モリタしかないんですよね。しかも高い・・・。けど今後は必要ですね。
ラバーダムが有効とこの論文には書いてるんですが、別に統計的に検討しているようにはみえないので、そこら辺は割り引いて考える必要があると思います。