普通の歯科医師なのか違うのか

CADCAM冠内面のサンドブラスト後に超音波洗浄は駄目

 
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5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学
岩手医科大学

前回からの続き

今回の論文は前回からの純粋な続きです。論文のタイトル自体が前回がpart1で今回がpart2だからです。

前回の論文はこちらです。
セルフアドヒーシブセメントは従来型のレジンセメントよりも接着強さが低い結果となっています。

実験方法はほぼ同じなはずなのでさくっと読みましょう。今回は超音波洗浄とリン酸処理の効果についての研究になります。

Bonding effectiveness of self-adhesive and conventional-type adhesive resin cements to CAD/CAM resin blocks. Part 2: Effect of ultrasonic and acid cleaning
Dental Materials Journal 2016; 35(1): 29–36

PMID:26830822

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26830822

Abstract

The present study assessed the effect of ultrasonic and acid cleaning on resin cement bonding to CAD/CAM resin blocks. One of two resin cements, PANAVIA V5 (PV5) or PANAVIA SA CEMENT HANDMIX (PSA), were bonded to one of 24 CAD/CAM blocks (KATANA AVENCIA BLOCK). Each cement group was divided into four subgroups: no cleaning (Ctl), ultrasonic cleaning (Uc),acid cleaning (Ac) and Uc+Ac. Micro-tensile bond strengths (μTBSs) were measured immediately and 1, 3, and 6 months after water storage. Block surfaces after each treatment were analyzed by scanning electron microscopy. Analysis of variance revealed a statistically significant effect for the parameters ‘surface treatment’ (p<0.001, F=40), ‘resin cement’ (p<0.001, F=696) and ‘water aging’ (p<0.001, F=71). The PV5 group exhibited higher μTBS values than the PSA group. Although cleaning after sandblasting was effective in removing residual alumina particles, it did not affect the long-term bonding durability with non-contaminated CAD/CAM resin blocks.

今回の研究の目的は、超音波洗浄とリン酸処理の効果を検証することです。CADCAMレジンブロックであるカタナアベンシアとパナビアV5とパナビアSAセメントの2種類を接着します。各セメントにおいて表面処理なしのCtl群、超音波洗浄群(Uc)、リン酸処理群(Ac)、超音波洗浄+リン酸処理群の4種類の表面処理群を設定します。接着強さを接着後0,1,3,6か月水中浸漬後に測定します。表面処理後に電子顕微鏡によるSEM画像も観察しました。
表面処理、レジンセメント、水中浸漬期間の3つに統計的有意差を認めました。パナビアV5群はパナビアSAセメント群よりも高い接着強さを示しました。サンドブラスト後の洗浄は残留しているアルミナを除去するのには効果的でしたが、CADCAMレジンブロックとの長期的な接着安定性には影響しませんでした。

ここからはまたいつものように適当に抽出して要約していきます。気になった方は原文を確認頂くようお願いします。

緒言はpart1の内容と似かよっているのでパスします。

実験方法

使用材料は前回とほぼ全く同じです。
リン酸としてKエッチャントが加わったぐらいです。

前回の論文と試料作製は同じでクラレノリタケデンタルのカタナアベンシアを7×7×5mmの立体に整形して接着面を400番で耐水研磨しています。これを24個作製します。24個をまず使用するセメントで12個ずつにわけ、さらにそれぞれを表面処理4パターンにわけるので1群3つの試料ということになります。

全てのレジンブロックの試料は予め50μmのアルミナでサンドブラスト処理が行われています。

その後行う表面処理は4群に別れます。
1)表面処理なし群(Ctl)
2)超音波洗浄群(Uc):120秒蒸留水で超音波洗浄後10秒間エアーブロー
3)リン酸処理群(Ac):20秒リン酸処理後10秒間エアーブロー
4)超音波洗浄+リン酸処理群(Uc+Ac):120秒超音波洗浄+20秒リン酸処理後10秒エアーブロー

その後全ての試料の接着面にシラン処理15秒と乾燥を行います。

表面処理後にパナビアV5またはパナビアSAセメントを用いて接着します。セメントの厚みは2mmとなるように設定しています。両セメント共にメーカー指示の操作を行っており、20秒間光照射で重合しています。その後24時間37度の水中に浸漬します。

浸漬後に試料を32個に分割します。96個になった試料をランダムに24個ずつ、0、1、3、6か月後に接着強さを測定しています。

あわせて表面処理終了時と接着強さ実験後にSEM画像を観察しています。

結果

表面処理後のSEM像

耐水研磨後の画像がabでcdがサンドブラスト後になりますが、表面が飛躍的に荒くなっています。アルミナの残留が認められます。efが超音波洗浄後で、ある程度残留物は取れていますが細かいデブリはまだ残っています。リン酸処理(gh)では超音波洗浄よりも残留物がなくなっています。

接着強さ

3元配置分散分析の結果、表面処理、レジンセメント、水中浸漬期間の3つに有意差が認められました。

前回と同じく、パナビアV5群はパナビアSAセメント群より有意に接着強さが高い結果となりました。
パナビアV5群ではサンドブラストのみ行ったCtl群とその後何らかの表面処理を行った3群との間で統計的な有意差が認められました。超音波洗浄やリン酸ryoriなどの表面処理を行うと接着強さが低下することとなりました。表面処理を行った群間では統計的な有意差は認められませんでした。

考察

超音波洗浄とリン酸処理は接着強さを向上する事はありませんでした。パナビアV5群では逆に有意に接着強さが低くなってしまう結果になってしまいました。この論文では超音波洗浄による接着強さの低下を以下の様に考察しています。

ultrasonic cleaning did not contribute to improving and re-capturing lost bond strength. The disadvantage of performing ultrasonic cleaning might be water sorption to the resin block surface. Although the bonding surface was thoroughly air-dried after ultrasonic cleaning by inspection, the water component may not be removed completely in this short time and its residual presence may have affected polymerization of the hydrophobic resin cement and weakened the bonding between adhesive resin cement and resin block. From these results, as long as restorations are sandblasted after a try-in procedure in the clinic, it can be said that there is no need for ultrasonic cleaning.

超音波洗浄によりレジンブロック表面に水分が吸着し完全に除去することができなくなるために接着強さが下がると考えられ、サンドブラスト後はドライな処理をするべきで超音波洗浄などは行わない方がよいでしょう。

これはリン酸処理に関しても同等です。

まとめ

今回の一連の研究は勿論ですが、口腔内を完全に模倣して実験しているわけではありませんし、CADCAMレジンブロックとレジンセメント間のみに特化しており、レジンセメントと象牙質間は考慮されていません。

今回の実験結果をうけて、最終的に人工唾液で汚染した環境でどの表面処理が最も有効かを検討したのが2018年の論文になります。

人工唾液で汚染すると、それだけで接着力が30%ぐらいになってしまうためそこから必ず表面処理を行う必要があるという結果になっています。

唾液汚染後のサンドブラスト処理は接着力の回復に有効ですが、その後は超音波洗浄や水洗などを行わず、エアーブローのみのできるだけドライな環境が推奨されるというのが、今回と前々回の論文を統合した結果という事になるかと思います。

CADCAMレジンブロックとレジンセメント3部作

その1

その2

その3

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