普通の歯科医師なのか違うのか

無歯顎の概形印象をうまくとるコツ?上顎編

2021/01/13
 
この記事を書いている人 - WRITER -
5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学
岩手医科大学

無歯顎は難しい?

実は昔同じ様なネタで某所で書いた事がありますので、それを少し改良して書きたいと思います。

コツといってもあくまで私が日常的にやってる自分流なので、参考になるかどうかはよく分かりませんが。

全部床義歯製作のための無歯顎の概形印象は有歯顎と全くイメージが違います。なぜなら取れていないといけない所が違うからです。有歯顎ならまあ歯列目的という事が殆どかと思いますが、無歯顎は解剖学的ランドマークの採得が目的となります。

上顎の解剖学的ランドマーク

上顎でも下顎でも駄目な義歯で取れていないのは後縁であることが多いです。
ただし、上顎は下顎ほど形が悪い義歯というのはあまりみません。
おそらく分かりやすいんでしょうね。

上顎の後縁としては左右のハミュラーノッチと口蓋小窩が含まれている必要があります。口蓋小窩は置いといて左右のハミュラーノッチをなんとなく結んだ線ぐらいのイメージでいいと思います。ハミュラーノッチとは上顎結節の後ろにあるので、上顎結節を全て覆う、ぐらいのイメージでも良いかもしれません。

この様な顎堤の方が来た場合、取るべき後縁は

青線になります。なのでこの青線を越えて印象が取れている必要があります。

上顎の概形印象に含まれる領域としては他には上唇小帯、頬小帯やそれを結ぶ歯肉頬移行部が必要となります。

ではどう印象を取るのか

1)今使っている義歯の大きさを参考にトレーを選ぶ

今使っている義歯の大きさがそれほど悪くない場合、取る印象も大体そんな感じになりますので、今の義歯の大きさをみながらトレーを選びます。

私は大きめか小さめかと言われると少し小さめのトレーを選択します。
ただし、後縁が短いのは面倒なので少し小さめかな?と思ったトレーを入れてみて後縁がある程度合ってることは確認しています。ほかはあまり気にしてません。
え?大は小を兼ねるではないの?と思うかもしれませんが、後述する方法を使うために小さめです。

その方法とはトレーを試適してからユーティリティワックスで外形を整える方法になります。
どうせトレーはピッタリ合いません。ピッタリ合わせる労力が勿体ないです。
良く専門書に載ってるトレーを曲げる方法がありますが私は殆どやりません。網トレーを強引に曲げたら網が破れちゃいます。指で曲がる範囲で少し曲げることもありますが、殆ど曲げません。
それなら少し短めでユーティリティでアバウトに形を整える方が良いです。

2)ユーティリティワックスはかなりアバウト

私は基本的に前歯部の前庭部と頬側前庭部にもの凄くアバウトにユーティリティを設置します。滅茶苦茶適当です。
この時上唇小帯と頬小帯部はユーティリティは設置しません。
こうすることで上唇小帯部の場所が決まるため、印象時のトレーの位置決定が楽になると思います。
ユーティリティワックスを設置してトレーを試適した際に軽く筋形成しても構いません。長いところがあたってトレーが浮いてくるとかあればユーティリティを短くします。

なお、ここまでは水平位でやった方がみやすいと思います。

3)アルジネートは量多めで硬く練る

合ってないトレーなんですから量は必要です。カップ2杯分ぐらいで硬く練ります。どれだけ硬くかと言われると困りますが、標準の混水比では緩すぎて流れてしまい床縁の厚みが付与できません。厚みを付与する意味でも硬い方が良いのです。
標準の混水比より水を1,2割減らして練るぐらいが丁度いいぐらいかと思います。

4)位置は上唇小帯を基準に

トレーにはすり切りではなく結構モリモリにアルジを持ってください。でないと前庭部に上手く入らない可能性があります。私は口腔内の前庭部に最初にアルジを入れてからトレーを圧接する事もあります。

位置はさきほど決めた左右の前庭部ユーティリティワックスの間に上唇小帯が来るようにあわせて圧接していけばOKです。

こんな感じで床縁部に厚みを付与するためにはアルジネートが多少硬くないと難しいです。

5)小帯を出すことに異常にこだわらない

小帯を出すことにこだわって引っ張りまくってトレーの位置がずれたり浮いたりする方が嫌です。小帯なんて完成してから削ったっていいんです。私はそれほど強く引っ張りません。

まとめ

私は殆どの場合個人トレーで精密印象を行いますので、概形印象は多少気泡が入っていたりしても気にしませんが、アルジ一発でそれを作業模型とする歯科医院も多いと思います。
個人トレーで筋圧形成する場合、コンパウンドで床縁の厚みが決定されますが、アルジ一発の場合、床縁の厚みをアルジで決定しないといけないため、ユーティリティワックスによる厚みの支持があった方が厚みの付与はしやすいと思います。後はアルジを硬めに練りましょう。

所詮一発印象ですし、クラウンの印象のように再度圧排しないといけない、なんてこともありません。つまり駄目だったら、アルジを外してもう1回チャレンジ可能です。多少他のスタッフの目線が寒いかもしれませんけどね。私も2回目秘密裏にいってること、ありますよ。

下顎概形印象採得に関してもブログにしました。

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東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
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