普通の歯科医師なのか違うのか

上顎無歯顎の精密印象採得

2021/01/23
 
この記事を書いている人 - WRITER -
アバター
5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学
岩手医科大学

自分は個人トレー+モデリングコンパウンド派

ブログで概形印象採得については書きましたが、やっと次のものを書く準備ができました。あくまで自己流で、これが正解というわけでありませんが、開業医がアポ30分(上下顎だと1時間)で筋形成するとしたら、こんな感じかな、という程度で見て頂けますと幸いです。

概形印象採得

概形印象採得の取り方については以下のブログをご参照ください。

今回取った上顎の概形印象採得はこれになります。既製トレー+アルジネート1回法です。口蓋部に気泡がはいっていますが、個人トレーを作るのであまり気にしていません。

私は2回法があまり好きではありません。2回法は押しすぎるし、床縁が分厚くなったりするのであまり好みではないのです。それなら1回法で成功するまで取り直します。今回の概形印象は1回しか取っていませんが。

上顎概形印象採得

研究用模型

概形印象から起こした研究用模型です。ある程度のフラビーガムとわずかな口蓋隆起が認められます。ここはワックスでリリーフして個人トレーを製作しています。

研究用模型

トレー合わせ

点線が元々の個人トレーのラインでしたが、実際試適してみると小体部などが長かったので削ってます。削りすぎるとコンパウンドの量が多くなってやりづらくなりますので、2mmぐらいコンパウンドが来るかな?ぐらいに設定するのがよいかと思います。

筋形成

私はKerrのコンパウンドを使っています。茶色のコンパウンドですが、これでREDなんですよね。まずは後方から頬小帯ぐらいまでコンパウンドを巻きます。
矢印の部分は個人トレーの中にコンパウンドが入ってしまったので、削除します。

削除したら、反対側を巻いていきます。以前も書きましたが、細部にこだわっても仕方がありません。まず一周巻いて考えるぐらいの方がよいです。

ちょっと引っ張ると小体は出ています。
後方へ引っ張る方が出ます。

前歯部を巻いて一周しました。トレーあわせからここまでで15分以内です。

ここではじめて左右の対称性を考えます。

コンパウンドの長さや厚みが左右で逸脱していないかをみます。左右どちらにあわせるか、というのはどうしても経験になりますが、あまりにも厚い、薄い、短い、長いというのはおかしいです。

基本的によほどのことがなければ印象はある程度左右が対称になるように作ります。総義歯の印象は採得するものではなく、自分で作るものです。

全体的な左右のバランスはまあまあという所ですが、左側前歯部のコンパウンドが右よりも厚くとれている気がします。なので削ります。

前歯部の厚みを調整して、後堤法に入ります。後堤法はGREENのコンパウンドで巻いています。この時点で相当吸着しています。まあ上顎が落ちるなんていうことはあってはならない事です。

後堤法の形態も整えて、小体部をくりぬいています。これで筋形成は終了です。え?これでいいの?と思った先生は臨床経験が豊富な先生かもしれません。

コンパウンドが光っている所は実は少し足りないんです。

でもいいんです。シリコーンゴム印象材はそれを充分補ってくれます。昔みたいに酸化亜鉛ユージノールペーストで印象するならコンパウンドの長さはもっとシビアに合わせる必要があります。しかし、シリコーンゴムは多少下手でも取れます。

フラビー部

フラビーガム部は印象でできるだけ押したくないので、遁路を付けます。印象が逃げるための孔ですね。

遁路

精密印象採得

印象材はGCのフュージョン2ウオッシュタイプを使用しています。
できるだけフラビーを押さない様に慎重に入れます。入れ方もコツがありますが、それは文章にするのは難しいですね。

印象の評価としてはやはり左右がある程度対称であることが重要です。左右があまりにも違うと排列も左右が非対称になったりしますので、できるだけ左右対称の印象を取ることが望ましいです。

小体部分もある程度綺麗には取れていると思います。

精密印象1
精密印象2

ボクシングして石膏を注いで終了です。

ボクシング

まとめ

保険の義歯ですので、そこまでこだわらず要点だけを押さえた形で印象をとっています。30分以内で印象はとれます。

個人トレーのよい所は印象圧を部位別でコントロールできるところです。こういったフラビーがあるような症例には向いています。
また、コンパウンドを一周巻いた段階で最終義歯の吸着がどれぐらい出そうかという大体の目安にもなります。

私はBPSとか他の方法はやらないのでよくわかりませんが、個人トレー+コンパウンドの場合、一番の問題はコンパウンドと友達になるのに時間がかかるということかと思います。こればかりは経験が必要な所です。

左右のバランスをみる、というのはアルジ一発で印象を取る際にも使えます。義歯の外形線が左右対称に記載できなれけばその印象で作る義歯は苦しいものになると考えられます。

概形印象2

義歯の大家の先生ほど概形印象にこだわります。私は開業医なので、できるだけ楽に要所を押さえたものがいいな、と思っていますが、やはり概形印象はそれなりの質を求めます。駄目なら取り直します。義歯の概形印象だから手抜きでいい、はあまり良い事がないと感じています。

この記事を書いている人 - WRITER -
アバター
5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学
岩手医科大学

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。

Copyright© 5代目歯科医師の日常? , 2021 All Rights Reserved.