普通の歯科医師なのか違うのか

義歯製作法の違いによる人工歯の移動

 
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5代目歯科医師(高知市開業)
東京医科歯科大学卒業(47期)
同大学院修了
【非常勤講師】
徳島大学
岩手医科大学

前回の論文がかなり不完全燃焼だったため、今度は自分の読みたい論文をしっかり探してきました。以前読んだシステマティックレビューを書いたロマリンダのグループによる義歯製作法による人工歯の移動に関する論文です。当然ですが、従来法での義歯製作は重合変形などにより人工歯は結構動きます。ではCAD/CAMはどうなんでしょうか?という話。

Comparison of denture tooth movement between CAD-CAM and conventional fabrication techniques
Brian J Goodacre , Charles J Goodacre , Nadim Z Baba, Mathew T Kattadiyil 
J Prosthet Dent. 2018 Jan;119(1):108-115.

PMID: 28506652

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28506652/

Abstract

Statement of problem: Data comparing the denture tooth movement of computer-aided design and computer-aided manufacturing (CAD-CAM) and conventional denture processing techniques are lacking.

Purpose: The purpose of this in vitro study was to compare the denture tooth movement of pack-and-press, fluid resin, injection, CAD-CAM-bonded, and CAD-CAM monolithic techniques for fabricating dentures to determine which process produces the most accurate and reproducible prosthesis.

Material and methods: A total of 50 dentures were evaluated, 10 for each of the 5 groups. A master denture was fabricated and milled from prepolymerized poly(methyl methacrylate). For the conventional processing techniques (pack-and-press, fluid resin, and injection) a polyvinyl siloxane putty mold of the master denture was made in which denture teeth were placed and molten wax injected. The cameo surface of each wax-festooned denture was laser scanned, resulting in a standard tessellation language (STL) format file. The CAD-CAM dentures included 2 subgroups: CAD-CAM-bonded teeth in which the denture teeth were bonded into the milled denture base and CAD-CAM monolithic teeth in which the denture teeth were milled as part of the denture base. After all specimens had been fabricated, they were hydrated for 24 hours, and the cameo surface laser scanned. The preprocessing and postprocessing scan files of each denture were superimposed using surface-matching software. Measurements were made at 64 locations, allowing evaluation of denture tooth movement in a buccal, lingual, mesial-distal, and occlusal direction. The use of median and interquartile range values was used to assess accuracy and reproducibility. Levene and Kruskal-Wallis analyses of variance were used to evaluate differences between processing techniques (α=.05).

Results: The CAD-CAM monolithic technique was the most accurate, followed by fluid resin, CAD-CAM-bonded, pack-and-press, and injection. CAD-CAM monolithic technique was the most reproducible, followed by pack-and-press, CAD-CAM-bonded, injection, and fluid resin. Techniques involving compression during processing showed increased positive occlusal tooth movement compared with techniques not involving compression.

Conclusions: CAD-CAM monolithic dentures produced the best combination of accuracy and reproducibility of the tested techniques. The results from this study demonstrate that varying amounts of tooth movement can be expected depending on the processing technique. However, the clinical significance of these differences is unknown.

問題点:CAD/CAMと従来法による製作時の義歯の人工歯移動を比較したデータを未だありません。

目的:本研究はin vitroであり、塡入、流し込み、射出成形、CAD/CAM人工歯接着、モノリシックで製作した義歯のどれが最も精度が高く、再現性が高いのかを決定するために、人工歯の移動を比較することが目的です。

実験方法:各群10個で5群、トータル50個の義歯を評価しました。マスター義歯を製作し、重合済みPMMAをミリングしました。従来型の義歯(塡入、流し込み、射出成形)は、人工歯排列と溶かしたワックスを注入するために、マスター義歯をシリコーンゴム印象材のパテタイプで複印象しました。ワックス義歯の研磨面をレーザースキャンし、STLデータ化しました。CAD/CAM義歯群は、義歯床をミリングして人工歯を接着したものと、モノリシックでミリングしたものの2つのサブグループとしました。全ての義歯は完成後、24時間水中に浸漬し、研磨面をレーザースキャンしました。完成前と完成後のスキャンデータを表面をマッチングするソフトウェアにて重ね合わせました。64点を測定し、人工歯の動きを3次元的に評価できるようにしました。中央値と四分位範囲を精度と再現性の評価に用いました。Levene検定とKruskal-Wallis検定を群間の評価に用いました。

結果:モノリシック義歯が最も精度が高く、ついで流し込み、CAD/CAM人工歯接着、塡入、射出成形となりました。再現性についてもモノリシック義歯が最も優れており、次で塡入、CAD/CAM人工歯接着、射出成形、流し込みレジンでした。圧縮を行う製作法は、圧縮無しの製作法よりも咬合面の移動量が大きくなりました。

結論:モノリシック義歯が精度、再現性のコンビネーションで最も優れた製作法でした。本研究の結果から人工歯の移動量は製作法に依存する可能性が示されました。しかし、これらの違いが臨床上重要かどうかはまだわかりません。

ここからはいつもの通り本文を適当に抽出して意訳要約します。誤訳もあり得ますので、気になったら実際の本文をご確認ください。

緒言

適切な全部床義歯製作の鍵の1つは正確に適合した床です。ラボでの研究では、CAD/CAMを使用したミリングによる義歯床は従来法よりも適合が向上すると報告されています。CAD/CAMと加熱重合で製作した義歯の維持を比較した臨床研究では、CAD/CAMの方が優れていました。しかし、補綴物全体の精度と再現性がベストな製作法を決めるためには、人工歯の移動を評価する必要があります。

製作時に、上顎の方が下顎よりもよりも歪むため、人工歯は移動します。人工歯の移動は埋没、塡入、プレス時に起こります。埋没材の粉液比と塡入時に加える加圧量は、いずれも人工歯の移動量に影響を与えることが明らかにされています。また、埋没時の人工歯の移動は石膏の硬化膨張に起因します。GrantとAtkinson、Atntonopoulosは別々の研究で、流し込みレジンによる全部床義歯は、塡入よりも人工歯の移動が大きい事を報告しています。Nogueiraらは、通常のプレステクニックよりも射出成形の方が切歯指導釘の挙上が有意に小さいと報告しています。加えて、上下顎で発生する最小限の人工歯の移動でさえ、咬合高径に大きな影響を与える可能性があります。

ミリングデンチャーは、製作時の色々な歪みを除外できるため、人工歯の移動を最小限に抑えることができます。本研究の目的は、塡入、流し込み、射出成形、CAD/CAM(人工歯接着とモノリシック)で全部床義歯を製作した際の人工歯の移動を比較する事です。仮説は5群で移動量は変わりが無い、としました。

実験方法

表1に示す材料を使用し、5つの義歯製作法が評価されました。

サンプルサイズは、以前の研究結果に基づき、約10個が必要と推定されました。そのため、サンプルサイズを10と決定しました。各群10、合計50個の義歯を製作しました。マスター模型はアメリカ補綴学会分類の顎堤形態タイプAで製作しました(図1A)。マスター義歯はCADソフトで設計し重合済みPMMAをミリングして製作しました(図1B)。

従来型(塡入、流し込み、射出成形)の製作のため、マスター義歯のシリコーンゴム印象材パテによるコアを採得しました。このコアを用いて人工歯の位置を再現し、熔解したワックスを注入しました(図1c)。この方法は、一定の床の厚みと人工歯の位置をもたらします。

ワックスで構成された研磨面をレーザースキャンして、STLファイルを生成しました(図2)。

CAD/CAM群に関しては2つのサブグループに分類しました。1つ目は、CAD/CAM人工歯接着群で、ミリングした義歯床に人工歯を接着した義歯、2つ目は1塊でミリングしたモノリシック群です。両群ともに10個ずつの石膏模型をスキャンして製作しました。スキャンファイルをGlobal Dental Science for fabricationに送付し、義歯床の厚み、人工歯の位置を保つためにマスター義歯と同じCADデータを使用しました。

義歯完成後に24時間水中に浸漬し、研磨面をスキャンしSTLファイル化しました。製作前と後のSTLファイルを表面マッチングソフトウェアで重ね合わせました。グローバルレジストレーション機能により、処理前と処理後のファイルに共通する1万点を探し出し、重ね合わせることができました。このソフトウェアを用いて50個の義歯の64ポイントを測定しました(図3)

加えて、人工歯の移動量と移動方向を視覚的に表示させる3D比較機能としてカラーマップを生成しました(図4)。カラースペクトルは、最大臨界値±0.5mm、最大公称値±0.02mmに設定しました。表面マッチングと計測は人工歯の移動方向の評価の基礎を提供します。

それぞれの製作法を比較するために、精度と再現性が必要です。精度は人工歯の動きを最少にできる製作法なので、中央値で表現することができます。再現性は製作する度の正確性であり、四分位範囲で表現することが出来ます。精度と再現性のコンビネーションは、どの製作法がベストなのかを決定するのに役立ちます。

それぞれの製作法での違いが統計的に有意であるかを決定するために、Kruskal-Wallis検定が用いられました。この検定は、義歯製作時の人工歯の移動を比較し、それが有意であるかを決定するためにもちいられました。

各製作法の分散の均質性を判断するためにLevene検定を用い、Kruskal-Wallis法の適用を可能にしました。

結果

各製作法による人工歯移動量のカラーマップを図4に示します。黄色から赤の領域は、人工歯が義歯床から離れる方向に移動している事を示し、一方で青のエリアは義歯床に向かって移動している事を示します。理想的な義歯はほぼ緑色のカラーマップで示され、それは人工歯の移動が0である事を意味しています。記述統計の結果を表2に示します。

精度と再現性の全体結果を図5に示します。精度は、モノリシック、流し込み、CAD/CAM人工歯接着、塡入、射出成形の順に優れていました。再現性については、モノリシック、塡入、CAD/CAM人工歯接着、射出成形、流し込みの順に優れていました。射出成形と塡入間以外の全ての製作法間で統計的に有意差が認められました。

各方向への人工歯の移動の精度と再現性についてのランキングを表3に示します。頬舌的な移動は頬側への移動が大きいグループと舌側への移動が大きいグループの2つに分類されました。近遠心の移動は、近遠心面に直接測定点を設定する事ができないため、分類しませんでした。全ての方向において統計的な有意差を認めました。

全ての製作法で、臼歯部の方が前歯部よりも大きな移動量でした。しかし、統計的な有意差は認めませんでした。圧をかける製作法(塡入、射出成形)は他の方法よりも咬合面方向の人工歯の移動量が大きい傾向を示しました。

人工歯の移動量と方向を製作法内で評価した時(図6)、興味ある傾向がいくつか見つかりました。塡入は咬合面方向の移動が最も大きく、次いで近遠心、頬舌の順をなりました。近遠心と舌側間を除いて全ての方向で有意差を認めました。流し込みの場合、近遠心方向への移動が最も大きく、次いで頬側、舌側、咬合面の順になりました。頬側と咬合面間以外の全ての方向で有意差を認めました。射出成形の場合、咬合面方向の移動が最も大きく、次いで近遠心、舌側、頬側となりました。近遠心と咬合面間以外の全ての方向で有意差を認めました。CAD/CAM人工歯接着では、近遠心への移動が最も大きく、次いで舌側、頬側、咬合面となりました。近遠心と舌側、頬側、咬合面間以外は有意差を認めました。モノリシックでは、咬合面方向の移動が最も大きく、次いで頬側、舌側、近遠心となりました。頬側と舌側間以外は全て有意差を認めました。

考察

モノリシック群が人工歯の移動が最少量で、精度でも再現性でも最も優秀となりました。各製作法を比較した全体的な結果を図5で示しました。残りの製作法のランキングは解釈が難しいです。例えば、流し込みは精度では2位でしたが、再現性では最下位となりました。そのため、もし精度と再現性両方が等しく重要であるなら、流し込みは2番目に優れた手法と考える事が出来ません。これらの2つの要素は共に、どの製作法がベストなのかを決定します。テストした製作法の総合的なランキングを決めるために中央値と四分位範囲を加えて総合点を設定しました。総合点で最少である製作法がベストであると解釈できます。そのため、総合ランキングを以下の様に決定しました。1位から順に、モノリシック、CAD/CAM人工歯接着、塡入、流し込み、射出成形でした。これは製作法のパフォーマンスを明確にしたものですが、解釈には注意が必要です。統計的有意差、臨床的な所見と関連していないからです。

人工歯の移動が0である方法はありませんでした。しかし、各製作法における人工歯の移動の違いは明確で、統計的にも有意でした。人工歯の移動の違いが臨床的に重要かはよくわかりません。これらの違いは、製作法により技工所や臨床での調整回数が変わるだろう、という事実を示しています。もし、同じ試料の義歯床の適合が人工歯の移動と組み合わせられるなら、人工歯の移動が最少であり、義歯床の歪みが最少である製作法が最も優れた方法と考えられます。両方の研究を組み合わせた結果からミリングデンチャーが総合的にベストな補綴物である事が示唆されました。

全ての計測値は-0.834~0.529mmと小さく、マスターデザイン義歯と最終的なミリング義歯のずれの平均が粘膜面では0.10mm、研磨面では0.50mmだったと報告したKanazawaらによる研究と同じような結果となりました。彼らは、粘膜面よりも歯の表面をミリングするのは難しい事も報告しています。この難しさの理由は、人工歯形態のミリングは粘膜面よりも情報量が多く、複雑であるからと仮定されます。

本研究の結果から、プレスする製作法は咬合面方向の人工歯の移動が大きい事がわかりました。この人工歯の移動はプラス方向であり、それは患者の咬合高径が挙上する事を意味します。Mahlerは、レジンのプレス、埋没材の種類、三次埋没により0.6mm以上咬合高径が挙上すると報告しています。Mahlerは0.25mmの人工歯の移動は1mmの咬合高径の挙上に繋がる事、人工歯の移動は上下顎両方で起こり、咬合に重大な影響を当たる可能性も報告しています。埋没中にも石膏の硬化膨張により人工歯の移動は起こることをPerlowskiが示し、Grantが確認、拡張しました。以前の研究では、塡入時よりも重合時の方が人工歯の移動が起こると報告されています。これらの要素から、プレスする製作法では咬合面方向の人工歯の移動量が増加するという本研究で得られた知見を説明可能です。プレスがない製作法(流し込み、CAD/CAM人工歯接着、モノリシック)は咬合面方向の移動が少ない結果でした。これらの製作法での人工歯の移動方向は義歯床方向、マイナスであり、咬合高径の低下が臨床的に明らかです。これらの結果は、流し込みと塡入で人工歯の移動を比較したAntonopoulosと同じ傾向です。

流し込みレジン歯最も大きな計測値を示し、最も再現性に乏しい製作法となりました。これは、GrantとAtkinsonによる研究と同様で、彼らは塡入と比較して流し込みは不安定な寸法変化を起こしたと報告しています。しかし、精度については流し込みレジンは良好であり、塡入、射出成形、CAD/CAM人工歯接着より優れている結果でした。理想的な義歯は寸法精度と再現性の両方を備えている必要があり、そのため、流し込みレジンの結果は心配です。

塡入と射出成形は同じ様な結果を示しました。この知見は、射出成形の方が、通常の塡入よりも切歯指導釘の挙上量が有意に小さかった、というNogueriaらの報告と反しています。Nogueriaらの報告と今回の知見の違いは予想していませんでした。口蓋の形態、口蓋の厚み、人工歯の位置、重合方法の違いに加えて、切歯ピンでの測定がこのような違いを生んだと考えられます。

また、射出成形は薄いシリコーンゴムで人工歯周囲を被覆し、その後に石膏で埋没する事になります。塡入に関する以前の研究では、人工歯の周囲に薄いシリコーン層の使用後に、石膏で埋没する方法を評価しています。結果として頬側よりも舌側に人工歯が移動しました。重合方法が異なりますが、プレス、重合時の人工歯周囲への弾性材料の使用は、本研究の射出成形の結果で示された人工歯の移動方向と同じ傾向になりそうです。射出成形で使用された弾性材料は、本研究で示された人工歯の移動の増加に影響を与えている可能性があります。

本研究では、前歯部と比較して臼歯部の方が移動量が大きくなりました。この違いは、切歯指導釘の挙上と咬合の変化に繋がるいくつかの臨床的な変化を説明します。製作法により人工歯の移動量は異なりますが、臼歯部は常に前歯部よりも大きな移動量を示しました。しかし、統計的な有意差は認める程ではありませんでした。

人工歯移動の方向を評価した際、私達は頬側と舌側方向の動きを別々に評価しました。近心と遠心は人工歯の近心面と遠心面に直接複数の計測点を設定できない事から分けませんでした。これは研究のlimitationですが、頬側と舌側の動きを分離できる能力は有益でした。舌側方向への移動が大きい事が実証されました。この移動は人工歯の水平移動というよりは傾斜によるものと考えられます。

図4に示したようなカラーマップを評価した際、移動の方向が分かることは重要です。例えば、咬合面の黄色または赤色は義歯床から離れるような移動を示し、臨床的には咬合高径の挙上としてみられるかもしれません。対して青色は臨床的に咬合高径の低下としてみられるかもしれません。

人工歯の移動を評価した以前の研究では、重合前後の切歯指導釘の挙上量を機械的に測定していました。3D解析と重ね合わせソフトウェアの使用はデジタルによる計測を可能にしました。移動方向を表示したカラーマップは移動量だけでなく人工歯の傾斜も評価できる可能性があります。

以前の研究では、義歯床の厚みと口蓋の形態が直接的に人工歯の移動量と相関しました。複数の研究で、上顎義歯は下顎義歯よりも歪みが大きいことが明らかになっています。RisticとCarrらは義歯装着前24時間の水中浸漬を提案していますが、他では30日以上の水中浸漬を推奨しています。口蓋形態、水中浸漬期間、人工歯移動に影響する要素全てを調査するために上下顎両方の採用、など更なる研究が必要と考えられます。加えて、他のCAD/CAM義歯製作法の精度と再現性を評価する研究が必要です。

結論

1 モノリシックが精度、再現性で最も優れた義歯でした。
2 全体的な精度のランキングでは、モノリシック、流し込み、CAD/CAM人工歯接着、塡入、射出成形の順でした。
3 全体的な再現性のランキングでは、モノリシック、塡入、CAD/CAM人工歯接着、射出成形、流し込みの順でした。
4 重合時にプレスする製作法は、プレスしない方法と比較して咬合面のプラス方向への移動が増加しました。
5 本研究の結果から、人工歯の移動量は製作法により異なる事がわかりました。しかし、この違いが臨床的にどれだけ重要かはよくわかりません。

まとめ

今回は前回と異なって凄くすっきりした気分です。前回は読んだ後かなりモヤモヤしました。想像通りモノリシックが最も人工歯の移動量が少ない結果となりましたが、射出成形の成績がかなり悪くて驚きました。射出成形は適合がよいという印象だったので人工歯もてっきりそういうものかと思っていました。射出成形の方が重合後の切歯指導釘の挙上量が塡入よりも有意に小さいという論文も文中にありましたが、おそらくそれでも義歯床をミリングしたデジタルデンチャーよりは適合も人工歯の移動も悪いと思われますので、全部床義歯に関しては性能を考えるとデジタルへの移行待ったなしなのかなと思います。ただし、どこからどこをデジタルでやるのか、3Dプリンタは?という所は術者とシステムによることになるのかな、と思いました。

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【非常勤講師】
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